日本酒のグルコース濃度

皆さんは辛口の日本酒を飲んだはずなのに「甘い」と感じた経験はないでしょうか?日本酒度と酸度で説明した通り日本酒の甘口・辛口は糖分の比重を表す単位のため、日本酒の発酵過程で生成される糖分がより甘ければ糖分の量が少ない辛口でも「甘い」と感じるのです。

日本酒は並行複発酵へいこうふくはっこうというデンプンの糖化とうかとアルコール発酵を同時並行で行わせる発酵形式で製造されます。糖化はお米に含まれるでんぷんがデキストリン→オリゴ糖→ブドウ糖(グルコース)の順に変化し、最も甘いブドウ糖が多く含まれる(グルコース濃度が高い)と辛口だけど甘いという日本酒が出来上がります。

出典:NEUROtiker

並行複発酵はこうじがお米のでんぷんを食べて糖を生成し、その糖を酵母こうぼが食べてアルコールにするといった2つの化学反応を1つのタンクで行う世界でも類をみない高度な醸造方法となります。発酵後のしぼり(上槽じょうそう)や、火入れひいれによる糖化の抑制タイミングにより日本酒の味わいが決まってきます。

昨今のトレンドは上述した「キレの良い甘い日本酒」で、全国新酒鑑評会での金賞受賞酒は甘い日本酒だらけとなる事態が何年も続きました。甘さがお酒の苦味などの欠点を隠してしまうため鑑評会で指摘されづらく金賞を獲りやすいというのが理由の一つです。

同じような日本酒だらけになると消費者の選ぶ楽しみもなくなり、ひいては日本酒離れが加速することにもなりかねません。日本酒業界もそこに危機感を抱き、世界最大の日本酒コンペティションであるSAKE COMPETITION 2016からはグルコース濃度別審査を導入し、日本酒の同質化に歯止めをかけ多様性の確保に努めています。

次回予告

今回は並行複発酵という日本酒の製造工程の一部に触れましたので、次回以降は日本酒製造の各工程を説明していきます。

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